世帯主の年代別「食」の消費規模

 ■食消費の主役はシニア

 世帯主の年代別の食の支出(年間平均額)と世帯数から、支出の規模を算出したのが次の結果だ。高齢世帯の拡大にともない、食の支出の多くを占めるのは50代で、総カロリー(摂取平均カロリーと人口からの計算値)と同じ結果である。

 外食は家族が多く外出の頻度も高い40代での支出規模がもっとも大きい。しかし、これ以外の野菜や果物、魚介類など若い世代での消費が少ない食料では、50代以上の支出規模が圧倒的になる。それのみならず菓子類でも小さくはなく、支出も増えているのでシニアによる消費規模は拡大中である。

 外食にしても50代や60代以上での支出は上昇しているので、平日の午後から夕方にかけての時間帯などはシニアの中でも高齢者による消費の規模は小さくないだろう。

 ■挑戦的なシニアに期待

 「若者は挑戦的」「中高年は保守的」という見方があるが、現在のシニアは時間もお金もあり、そこにインターネットによる情報革命も加わり、冒険の敷居は下がる一方である。むしろ新しい「食」などへのチャレンジャーにシニアが増えることが期待できる。若者のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は仲間同士の連絡、対面の会話の延長のようなやり取りが多いが、一方のシニアは経験や体験の発信が中心になる。うんちくを傾けたい世代だからだ。

 消費規模だけではく、情報発信の上でも主役になれるのがシニアである。

 食材、外食などのサービスもシニアのニーズを捉えることで規模を確保できる可能性が高くなる。そこを維持しつつ、次の世代となる20代や30代の需要の育成をするのが、理にかなったやり方だ。


 ■「継続はリスクなり」 

 かつて若者の圧倒的な支持を得た文化やブランドも、若者だけを追っていれば人口構成比の変動から、ベースの小さいマーケットで勝負をしなければならなくなる。かつての若者だったシニアと良好な関係を続けつつも、現代の若者のマーケットの育成にも力を入れなければならない。それをしなければ世代交代で、先行きが厳しくなるのは必定。

 本来ならかつての若者のシンボルだった老舗ブランドほどそのチャンスに恵まれていたはずだ。しかしその変化への認識が弱かったのか、対応の速度が遅かったのか、新興勢力に押されるようになってしまった。

 変化はより早くなる。「今日を見て明日を知り、その日のうちに手を打つ」ぐらいのスピード感が求められる。「継続」に安住しようとする企業は、気づかぬうちにその場を追われることになるだろう。


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