■シニアのマーケットはどのくらい大きいのか
シニア世代が有望なマーケットとして期待できるというのはよく聞く話だ。
ひとつには若年層が減少し、過去に多く生まれた世代の人口構成比が、ここにきて大きなウェイトを占めるようになったから。くわえて経済が好調だった時期に働き盛りのころを過ごし、保有資産も少なくない。さらに、若い頃におう歌した大型消費の習慣が今でも残っている。
下のグラフは、日本人の総摂取カロリーの平均と人口からその総カロリー数を計算し、構成比を15歳以上の年代別に表したもの。
50代以上で男性はほぼ過半数に達し、女性は男性より高齢者が多いので超えている。この年代別の構成比が、ほぼ「食」のマーケットサイズと見ることができる。
■日本の消費・マーケットの多くを占めるシニア
例えば個別に食品の消費額を見ても、50代以上、60代以上の世帯でもかなり大きく、若者のように一気に大量に食べられないにしても、野菜から菓子類まで多くの種類を摂取する生活をしている。そして日常的には若い世代の活動量にはかなわないが、運動習慣が根付いている。しっかり食べてしっかり動いて消費しているのだ。
街で最新のスポーツタイプの乗用車に乗っているのはシニア世代。デパートの老舗ブランド品店で見かけるのもシニアの男女。「食」に限らず、日本の消費の金額面で多くを占めるのはシニア世代であるのは間違いない。
■心をつかむことが何よりも重要
シニア需要がマーケットの多くを占めることを常識として知ってはいても、取り組みを真剣にしている企業はまだ少ない印象がある。シニアが好む製品を取りそろえる以外にも、次のようなサービスの提供が効果的。
①安心感・信頼感・ブランド感
シニアが価格の高いものを選択する一つには「高ければ安心」という心理がある。身近や手軽よりも「信頼」を重視。老舗ブランドでなくても納得できるブランドであれば選好する。
②特別客としての対応。
「相手を知っている・知られている」の関係を商取引に持ち込みやすい。さらに特別扱いをされることで相手も特別扱いをする。
③定期的な連絡・お知らせ。
上記「②」から商品の売り込み以外にも定期的に連絡をし、近況等をたずねるなどのコミュニケーションが有効。
シニアは単に「モノを買う」のではなく「あの人から買う」の意識が強いのである。
ただし製品のデザイン、宣伝広告の図案などに関しては、シニアを意識して地味にしすぎるのは問題かもしれない。多くの人は年齢を重ねても自分はまだ若いと信じている。「歳相応」に活動は低下しても、嗜好は若い頃のままであることが多いからだ。
出版物のご案内「コンシューマーマーケット・トレンド」
0コメント