メディアビジネスの変化が加速

いまでも「テレビ離れ」や「活字離れ」などと、メディアで取り上げられることがある。一番その報道にピンときていないのが、実は当の視聴者や読者ではないだろうか。知らず知らずに時間を費やしてしまうSNS、使ってみると実利や達成感もあるスマートフォンのアプリケーションソフト――。情報や物々交換だけではなく、心身の管理から支払いや貯蓄等の運用まで行えるとなれば、そちらを優先するのは当然だ。

これまで、既存メディア(テレビ、新聞、出版物)はインターネットメディアを強敵と見なしてきた。しかしIoTやFinTech(フィンテック)などが普及していく世の中では、インターネットメディアもまた時間を奪われる立場にある。メディアは社会に起きたことを即時に伝えたり、娯楽の時間の提供、個人の情報交換の中継ぎをしたりするだけでいいのだろうか。より深い情報の抽出、一歩踏み込んだ解説や利用者への提案などが求められるようになると見るべきだろう。


メディアの影響要因

<社会面>

人口:減少局面が明瞭、出生率の改善策、外国人居住者の拡大があっても、全体の減少傾向は免れない。

平均年齢:少子高齢化で平均年齢が上昇、高齢者はメディアへの関心が低い傾向がある。

労働時間:働き方改革の効果は未知数、余暇時間の大きな増加は不明瞭。

女性の社会進出:茶の間で昼間時間帯に視聴・接触する人口の減少と、社会進出した結果の女性の情報ニーズの変化。

平均給与:回復途上にあるものの期待は薄く、「無駄=不要」の関係は根強く続く。コスパ=価値×時間。

衣食住の変化:消費の変化が求める情報も変化させる。

趣味嗜好:多様化や体験重視の傾向の強まりとメディアニーズの変化。

入手情報の変化:より深い情報、レアな情報、口コミ情報等の多様性。

時間感覚の変化:ネットメディアの「小間切れ」「飛ばし」「繰り返し」が当たり前の視聴方法に。

コミュニティ:「共感」「共有」など見えないコミュニティの存在価値が高まる。

価値観の変化:上記の結果、価値観は「モノ→コト」に代表されるような変化の度合いを強める。


<テクノロジー>

参加型アプリケーション:「見て楽しむ(TV等=受動)」は「参加して利を得る(不用品交換サイト=能動」へ価値を奪われる。

AI:制作や戦略での活用の巧拙で格差化。

スマートスピーカー/スマートディスプレイ:インターフェースの変化。

コミュニケーションロボット:メディア接触時間への影響。

多ディスプレイ社会:テレビ、パソコン、スマートフォン、車載用、ペーパーレス。

VR/AR:メディア接触時間への影響、インターフェースの変化。


<国際面>

映画・ドラマ等のコンテンツの流通:各国のコンテンツビジネスの強化。

VOD市場の拡大:流通プラットフォームの多様化と拡大。

動画サイト:海外への拡散力、海外情報流入の影響。


メディア利用人口/利用総時間の実績と10 年展望2018~2027より


Brain Research & Marketing,Inc.

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