下のグラフは、税がいかに負担の率を高めているか、そして可処分所得が低迷しているか、さらに資金的余力に関しては下降の一途であることを物語っている。
つまりこうなると、消費は期待できない状況が継続する可能性があるということ。日本経済の世界の中の位置、少子高齢化を考えれば延長線も同様か、下手をすれば悪化が懸念される。
■消費は健全化している
「売れない」と嘆くと、消費者の行動に原因があり、問題視したくなるが、それとはまったく逆だと思う。
①消費者は消費対象の選択に賢くなっている。
②最小投資で最大効果を得る方法を会得しつつある。
③自分流を楽しむなど自己表現的な消費に目覚めてきている。
これらの理由で、消費はむしろ”健全化”してきているのである。これは日本に限らず、先進国の都市部などを中心に近年注目されている動きだ。
考えて見れば自動車やコンピューターは、いかに少ないガソリンや電力や機材で、最大の効果を発揮するかを突き詰めてきた。インプットが制限されるほど、より研ぎ澄まされたアウトプットが期待できる。現在の消費者と消費もその過程にあるわけだ。
そうなるとこの流れに逆らうことはできない。かといって、単に価格を下げるだけでは消費者の核心を捉えているとは言えないだろう。もちろん、購入や買い替えをあおるような宣伝口上は逆効果だ。
■健全化の支援
冷蔵庫が食物でいっぱいになると、賞味期限切れに気づかず廃棄されるものが出る。庫内にモノがありすぎると、見えなくなるからだ。
週末しか乗らない車の利用時間と総経費を計算すると、レンタカーどころか、都度タクシーを使ったほうが安上がりであることに気づいたりする。
ひとつの動きとして「所有することのロス」に消費者は注目していると思う。
たとえば、趣味に熱心な人は、好きな分野の雑誌をすべて手元に置いておきたいと望む。バックナンバーを探し求めている人もいる。しかし、置き場所や管理を考えると、そうもできない。
電子書籍がそのひとつの答えとなる。この場合、回線経由で最新の誌面が手に入ること、読み放題であること、など競合のインターネットを意識したサービスよりも、保管性や永続性に注目すると、新しい切り口が見えてくるかもしれない。
考え方としては、この消費者の自己改革の流れを後押しするような製品やサービスであることが大切なのである。
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